世界のいたる所で
良好な水環境を
回復・維持するために。

代表取締役社長狩谷 薫

今年は平年より遅い梅雨入りとなりましたが、国内各地で浸水被害や土砂災害が発生しています。今年の夏の気温は全国的に平年を上回り、昨年同様の猛暑が予想されます。皆様におかれましては、引き続き水害への備えを万全にするとともに、暑さにも十分に注意し、体調管理を心掛けてお過ごしください。

TECインターナショナル(TECI)は、TECグループの中核をなすコンサルタント企業として、世界中で水環境分野、特に上下水道を中心としたインフラ構築のコンサルティングを行っています。TECIは2012年に、国内コンサルタント企業である東京設計事務所(TEC)から独立し設立されました。TECグループの「社会・環境に貢献し、働きがいのある魅力あふれる企業を持続する」という共通の経営理念を受け継ぎ、60年以上の歴史を持つ東京設計事務所の高度な技術力を活用して、質の高いコンサルティングサービスを提供しています。

これまでに、約60か国で上下水道事業の幅広い技術協力活動を展開し、アジア、中東、アフリカ、中南米、東欧の地域を中心に、BHN(基本的ニーズ)の充足や復興支援、経済インフラの整備を支援してきました。これには、上下水道施設の計画・設計や施工監理に加え、環境への配慮や政策立案、事業運営改善、人材育成などのソフト面での支援も含まれています。近年では、水を基盤とした地方公共団体や民間企業との連携による水ビジネスの推進や、途上国での環境・衛生教育にも積極的に取り組んでおり、より多面的な支援を行っています。これらの活動を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、国際社会の課題解決に貢献していると自負しています。

日本では洪水被害の発生や酷暑が予想されていますが、世界に目を向けると、アフリカでは干ばつによる深刻な食糧不足が懸念され、アジアでは猛烈な台風が頻発し、大規模な被害が続いています。昨年、世界および日本の平均気温は統計開始以来最高を記録し、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した」と表現し、気候変動による危機への対応を訴えました。また、世界気象機関は、「2024年の世界気象デーのテーマは「気候変動対策の最前線」とし、気候変動は、私たちの文明全体に対する重大で否定しがたい脅威となっている」としています。高い洪水リスクは水源の水質を悪化させ、清潔な水へのアクセスを困難にします。一方、乾燥地域では干ばつが頻発し、飲料水不足が深刻化しています。水温の上昇は水中の有害物質や病原菌の繁殖を促進し、飲料水の安全性を脅かしています。大雨や洪水によって都市の浸水被害が発生し、農業や都市からの汚染物質が河川や湖に流れ込み、水質が悪化します。海水面の上昇は、河川への塩水の侵入や地下水の塩水化を引き起こしています。特に開発途上国では、干ばつによる水供給の減少が手洗いやトイレの利用を制限し、衛生状態の悪化と感染症のリスク増加につながっています。

TECIは、SDG 6(「安全な水とトイレを世界中に」)の達成に向けた取り組みを通じて、これらの気候変動がもたらす課題に対応し、持続可能な未来の構築に貢献しています。既存の技術領域に加え、水道事業における気候変動への適応策や緩和策を提案しています。また、気候変動への対応は水道事業関係者だけで解決できないため、幅広い水資源のステークホルダーとの連携や統合水資源管理分野での活動も進めています。

今後とも、気候変動に対応しながら「世界のあらゆる場所で良好な水環境を回復・維持する」という我々のミッションを続けてまいります。皆様の変わらぬご指導とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役社長
狩谷 薫