アゼルバイジャン
共和国
地方都市上下水道
整備計画

国・地域
アゼルバイジャン共和国
発注者
アゼルバイジャン上下水道公社
(Azersu OJSC)
実施期間
2011年~2021年

プロジェクトの背景

アゼルバイジャン共和国は、カスピ海と黒海に囲まれるコーカサス地方の南側に位置し、北海道とほぼ同じ国土面積に約1000万人が暮らす産油国です。旧ソビエト連邦から独立後は、原油の輸出により大きく経済が発展し、首都のバクーを中心に都市インフラ施設の近代化が進められました。その一方で、開発が遅れる地方都市では水道普及率は平均で33%と低く(2004年)、施設の老朽化や自然災害により給水サービスの質が著しく悪化していました。さらに下水道は一部しか整備されておらず、汚水量の増加に伴う生活環境の悪化も懸念されていたため、地方都市における上下水道施設の改善は国家の優先課題の一つと位置づけられていました。

伏流水取水施設
河床下7mに集水埋渠を敷設し、
背景のコーカサス山脈から浸透する伏流水を取水している

プロジェクトの概要

2009年5月に供与限度額328億円の円借款契約が締結され、グサール、ハチマズ、ヒジ、ゴブスタン、ナフタランの地方5都市を対象とする上下水道施設の整備事業を実施しています。本事業により、計画給水人口の126,485人(5都市計、2030年推計)の水需要量である29,642m3/日の安全な水供給を行うことができ、また新たに整備される下水道配管および下水処理場により生活環境を改善するとともにEU水質基準を満たす処理水が放流され、水環境が改善されます。さらに、全顧客に新たに水道メータを設置することにより水道料金が徴収され、財政面の健全化を通じて水道事業運営の持続可能性を高めることができます。
対象5都市では、上下水道施設:取水施設(伏流水、湧水、地下水)、浄水場(逆浸透膜、3800m3/日)、水道配管(479.8㎞)、水道メータ(21,588個)、下水道配管(360.8㎞)が完成し、下水処理場(5処理場、長時間ばっ気活性汚泥法、合計26,850m3/日)、管理棟(5棟)が建設されています。