セルビア共和国
ベオグラード市
下水道整備事業
準備調査

国・地域
セルビア共和国
発注者
JICA
実施期間
2012年~2013年

プロジェクトの背景

セルビア共和国はバルカン半島中西部の内陸に位置する国で、その首都ベオグラード市はドナウ川とサバ川の合流地点に広がっています。下水道は全国ほぼすべての市で整備されており、約20の下水処理場が稼働していますが、ベオグラード市には下水処理場がなく、収集された下水は未処理のままドナウ川とサバ川に放流されています。表流水・地下水はベオグラード市の水道水源となっているため、このままの状態が続けば水道水質の悪化が進み、人々の健康への被害が懸念されます。
さらに、セルビアの最重要施策として「EU への加盟」が掲げられています。EU 加盟の条件として EU 指令を遵守することが定められており、下水に関しても高度処理施設の整備が求められています。

EU加盟に向けて最適な事業実施計画を提案するため、ベオグラード市が実施した既存調査の補完および包括的な調査として、本調査が実施されました。

サバ川へ流入する汚水

プロジェクトの概要

第一段階として、現況の確認及び事業の概略設計を行いました。
ベオグラード市の下水道セクターにかかる現況確認、水環境関連の問題点と原因分析、下水道整備・管理に関する課題の分析、法制度・環境社会影響の予測を行いました。また、技術的な検討に必要な知識向上のため、セルビア側のカウンターパート10名を日本へ招聘し、バイオガス発電技術や汚泥燃料化技術、工場排水処理技術、高度処理技術等の日本の様々な処理施設・技術の紹介を行いました。

第二段階として、最適事業案の検討と事業効果の確認を行いました。
最適事業案に関する基本設計、事業費の積算、環境・社会面への影響、経済・財務分析、維持管理体制、実施機関の能力等にかかる調査を行い、最終報告書を取りまとめました。